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SPECIAL

『イヌの日』公式WEB スペシャル対談!!

 

松居大悟×志磨遼平(ドレスコーズ)

それぞれの防空壕で見つけた、それぞれの作り方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

松居大悟の熱烈な指名によって実現した、

ドレスコーズ志磨遼平との『イヌの日』対談。

公式WEB掲載分では、松居が対談相手に志磨を指名した理由、

そして志磨が松居の舞台作品に感じる魅力などを語る。

ー松居が志磨と話したかった理由ー

 

松居 今回、対談相手は誰がいいかを聴かれたときに、志磨さんの名前を即答しました。

 

志磨 いや、もう光栄です。ありがとうございます。

松居 『イヌの日』って、初恋の子と身近にいた三人を防空壕に閉じ込めて、ずっと世話をしているけど手は出してないという話なんです。その感じが志磨さんだなと思って。ドレスコーズの曲を劇にしたら、こういう劇なんじゃないかと思ったんですよね。

 

志磨 そういう気は確かにあります(笑)。イノセントというか、大人が未だにちょっと怖いんですよね。僕も松居くんも。

 

松居 プそれプラス、最近僕は、大人と子どもの境界線もわからなくなってきました。劇中に「監禁されている四人を外に出そう、いや出さないほうがいい」というくだりがありますけど、どちらが幸せなのかわからない。本当は大人になんか、ならないほうが幸せなんじゃないかって。

志磨 監禁というひどい仕打ちをしているのか、外から守ってあげているのか。大人にしてあげないというのも「大人になってもいいことなんかないから、子供のままにしておいてあげる」という、一種の倒錯なわけだよね。

 

松居 そう。で、世間から見たら間違っているかもしれないけど、当事者同士は理解しあっている感じとか……、志磨さんはそういうものを表現してきた人だと思ったし、絶対深い話ができると思ったんですよ。

 

志磨 台本にも目を通させてもらったけど、すごく面白そうだと思った。

ー志磨が語るゴジゲン作品の魅力ー

志磨 あと、今回出演する(本折)最強(さとし)さんは、ずっと松居くんの所属事務所の、ゴーチ(・ブラザーズ)に憧れてたんじゃなかったっけ?

 

松居 えっ、そんなコアな情報を!?

 

志磨 僕はただのゴジゲンファンなんで(笑)。といっても『劇をしている』(16年)と『ごきげんさマイポレンド』(15年)の二回しか、生では観られていないですけど。そういえば『ポレンド』DVDの特典映像で……。

 

松居 特典、観たんですか!?

 

志磨 観てるよ! ファンやから(笑)。「これがDVDになっているということは、公演はもう終わってるんでしょうね」みたいなことを、みんなが公演前に収録するビデオレター的な映像がありましたけども。

松居 ちょっとロマンチックなことを言うやつですね。

 

志磨 そう。で、目次くんが『ポレンド』の後に「次の公演をやる」と言うかどうかも、もう半分はドキュメントだったもんね。

 

松居 そうですね。

 

志磨 目次くんが次もやると言えば『ポレンド』は復活公演になるし、やらないと言ったら、これが解散公演ですと言っていて。

 

松居 ゴジゲンも、別に復活しなくてもよかったんですよ。でも単純に目次(立樹)や最強に会いたいみたいな気持ちがあって。なにかを作りたいとかじゃなかったんですよね。それで一カ月くらい一緒に過ごして。他が仕事として成立していたから、「これで失敗してもいいや」と思ってやれたのかもしれない。

 

志磨 そうなんだ。『劇をしている』もよかったし、『ポレンド』は衝撃的だったな。小劇場の舞台に対して、自分の中でちょっと先入観もあったんだけど、それをものの見事に全部迂回してくれて。松居くんは「こうなると嫌だな」ということを、絶対やらないんですよ。

 

松居 おお、ほうほう(笑)。

 

志磨 だから、すごく気持ちよく話が進むし、観客が話に入り込もうと頑張る必要がない。それが最大のサービスだし、ゴジゲンの素敵なところ。

 

松居 僕も演劇らしいものにしたくなかったから。「さぁ、演劇が始まるよ。よーいスタート!」というのは恥ずかしいし、嫌だった。それで、いつ始まったかわからない感じにしてみたから、そう思ってもらえたのかもしれない。

 

志磨 最初から「これはじっくり観れるぞ」という感じがあった。案の定……、案の定どころか、僕は二回観て、二回とも号泣しましたから。で、なぜ泣いたかのか理由がわからなくて、もう一回観に行って。とにかく衝撃がすごかったんですよ。

ー約束事を避けて、ものを作るー

松居 もしかしたら、今回は真逆の「ザ・演劇」をやることになるかもしれないですけど。僕は演劇が嫌いになりそうで、三年くらい演劇を止めていた時期があるんです。で、『ポレンド』は、そこから復活して最初の作品だったから、「ザ・演劇」をやろうとしたら拒否反応が出そうだなと思って。「みんなでワイワイしているのが、形になったらいいな」と思って、演劇をかわしながらやる感じになりましたね。

 

志磨 それを初めて観られたのは、僕もラッキーだったと思う。僕はバンドをやっていますけど、僕もたぶん、なにかを避けながらやっているんですよ。今のようにメンバーが毎回変わるという形は特殊だろうけど、いわゆるバンドの変な様式美とか……。

 

松居 「こうあらねばいけない」とか……。

 

志磨 「バンドって、こんなんでしょ」みたいなのが、すごく嫌だと思って。そこをなるべく迂回しながらやっている気がする。

 

松居 どうして今みたいな活動形態にしたんですか?

 

志磨 やっぱり天邪鬼なのよね。みんながやってることは嫌だという。で、誰かに自分を「こういう人でしょ」と決めつけられるのも嫌だから。だからすごく静かなアルバムを出したり、全然イメージとは違うアートワークやミュージックビデオを作ったりして。松居くんに撮ってもらったやつ(『スーパー、スーパーサッド』14年)もそうだけれど、常に自分をブレさせるという。絶対、まっすぐ進まないようにはしていて。

(『イヌの日』公演パンフレットに続く…)

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